今回は、安全性情報報告の用量記載の基本について説明します。安全性情報における医薬品の投与量の記載は、1日量が基本です。前回の解熱の翻訳でも説明しましたが、日本語原文に1日量が記載されていない場合でも、翻訳作業はこれで終わりではありません。日本語報告書の薬剤欄を確認し、1日量を記載できるデータが存在しているか確認します。例えば、報告書に1回量と投与回数が記載していれば、1日量は算出できます。
もし、報告書から1日量を記載できるデータが得られなければ、どうするのでしょうか?
1日量を記載せずに、薬剤名のみ記載するのでしょうか?安全性では、その時点で得られた情報の範囲で必ず1日量を記載しなければなりません。
では、どうするのでしょうか?
「1日量がわからない」というの重要な情報です。
そうです、「患者は1日量不明の薬剤Xの投与を受けた」とします。
経過欄における投与量の記載は、1日量が基本ですが、投与回数の情報が得られていれば、投与回数の情報も記載します。
安全性の経過欄の用量記載は1日量であることは、理解できましたでしょうか?
では、この頃起きているのですが、投与回数を表記するのにラテン語の略語を用いなくなってきた傾向についてお話しします。
外国語でもラテン語離れが起き、ラテン語を基本とした薬剤処方の記載を避ける傾向が出てきてます。やはり、ラテン語は英語圏の人にとっても難しいものみたいです。ラテン語を使用したからと言って間違いではありません。製薬企業によって避ける傾向が出てきたということです。
例えば、1日2回はラテン語を用いればbidとなり、表記が簡単です。英語で表記すれば
「two times daily, twice daily, two times per day, twice per day, two times a day, twice a day」となります。どちらの表現が好まれるかは、製薬企業の好みです。
今回の経過欄の投与量記載の説明は、「なぞ解き」というよりある種のルールに似た物でした。しかし、安全性情報報告の翻訳は、このような細かなルールを守りながら、情報の正確さを目指します。