安全性情報翻訳を学び始めの頃に悩む問題(2)

今回は理由を述べるときに使用する接続詞について学習しましょう。

昨年の7月の頃に出した第1回目の問題(1)では、有害事象の冠詞について記載しました。
今回は理由を述べるときに使用する接続詞について学習しましょう。
ご存知のように安全性情報の本質は、新たな情報をいかに読み手(報告を受ける側)に正確に伝えるかということです。また、安全性情報の文書は報告書として多くが作成されるので、文書を頭から読んでいって情報を取りやすくすること、誤解を招かないように文章を構成することが重要になります。これらのことを踏まえると、英語の基本的な文章の構成ルールをしっかりと理解する必要があります。
英語の文章を書くときに知っておかなければならないことがあります。英語は「新情報」と「旧情報」の扱い方というルールがあります。今自分が話そうとしている、書こうとしている内容が、何が「旧情報」で何が「新情報」かを常に心にとどめながら話し、書く必要があります。
英語は「旧情報」を文の最初に置き、「新情報」を文の後に置くという約束があるのです。
では、「新情報」、「旧情報」を導くものはどんなものか、冠詞を例に話しましょう。不定冠詞「a, an」は「新情報」、定冠詞「the」は「旧情報」を導きます。
このように英語の文章のコンポーネントは、「新情報」や「旧情報」を担っているものもあります。
ここで話を最初に戻します。実は、英語の理由を示す接続詞も「新情報」と「旧情報」を導くものにはっきりと区分できるものがあります。
当然、「新情報」を導く接続詞は文章の後に、「旧情報」を導く接続詞は文章の前に置くのが原則となります。
では、安全性情報報告の翻訳で使用する理由を示す接続詞を説明しましょう。
「旧情報」を導くときに使用する理由を示す接続詞は、「since」と「as」です。

例:Since the laboratory test showed an increase in uric acid, a drug-induced adverse event was considered.

上記の例の場合、読み手(情報を受ける側)は、「臨床検査で尿酸値が上昇したこと」をすでに知っていると解釈できます。
では、以下のbecauseを使用した文章はどうでしょうか。

A drug-induced adverse event was considered because the laboratory test showed an increase in uric acid.

この例の場合は、読み手(情報を受ける側)は、「臨床検査で尿酸値が上昇したこと」の情報を初めて得ると解釈できます。

補足ですが、「旧情報」を導く前置詞「as」は「since」より表現が硬く、「新情報」を導く前置詞「for」は「because」より硬い表現となります。

以上、安全性おじさんの翻訳相談室からでした。
引き続きアンセクレツォを宜しくお願いします。