医薬翻訳、安全性情報翻訳では多くの略語に出会います。
また、医薬翻訳、安全性情報の和文から英語への翻訳においては、略語を使用した場合は、最初に使用したときにはその略語と一緒にそのスペルアウトを原則的に記載するというのが決まりです。
ところが、この略語のスペルアウトが国や団体により異なることが時々あります。
今回は、最近経験したことを皆さまにご紹介します。
医薬業界では大変有名な言葉にGxPというのがあります。xの部分に薬事規制に関連する内容を示す英単語の最初の文字を入れて使います。
例えば、GCPは、Good Clinical Practiceとなり、医薬品の臨床試験の実施の基準を示すことになります。
今回、問題となったのはGVPです。
「薬事規制に関連する内容を示す英単語の最初の文字を入れる」とのルールなら、監視を意味する略語の中の「V」は「vigilance」となるはずです。
ところが主な規制当局のGVPのスペルアウトの処理を見てみると、EMAやFDAでは、Good Pharmacovigilance Practiceがスペルアウトとして採用されてました。日本のPMDAでは、Good Pharmacovigilance Practiceは1件も採用されず、Good Vigilance Practiceが採用されておりました。
どうしてこのような現象がおきているか、さらに調査しないとはっきりしたことは言えませんが、面白い現象だと思います。
以上、安全性おじさんの翻訳相談室からでした。
引き続きアンセクレツォを宜しくお願いします。