言葉が好き、言語が好き、語学が好き、読書が好き、文章を書くのが好き、「好き」もいろいろとありますが、すべての「好き」の中で、翻訳が一番好きです。
では、いったい翻訳が好きなのはなぜかというと、翻訳をしていると、これって「日本語にない感覚」だよね、どうしたらうまく日本語に翻訳できるのだろうか、または英語に翻訳するにはどうしようか、と悩みながら、読みやすい翻訳、説明的にならないような翻訳の工夫が楽しいのだと最近気が付き始めました。
翻訳がうまく出来たと思うときはうれしさだけでなく達成感のようなものが感じられます。
科学的な文章に本当に「日本語にない感覚」が含まれているのかと疑われている皆さん、例えば、英語で「この技術は、開発の成功への厳しい道のりを辿った」と表現された文章は、通常日本語では「この技術を使っての開発は、成功への道のりが厳しかった」あるいは「この技術による開発は、成功への道のりが厳しかった」などと表現するでしょう。
物を主語にして、この場合は「この技術」、擬人化した文章を日本語ではあまり書かないですよね。
逆に、日本語から英語に翻訳するときに、この物を主語にした擬人化用法をうまく使うと、文章に緊張を与えたり、動詞の主体が不明のときでも翻訳することが可能となることがあります。