CIOMS作成や安全性の経過欄の翻訳の魅力とは(1)

私がCIOMS作成や安全性の経過欄の翻訳に魅力を感じたのは、「なぞ解き」の要素が他の翻訳より強く感じたからです。

この記事は私が抱いている主観的な感想です。私がCIOMS作成や安全性の経過欄の翻訳に魅力を感じたのは、「なぞ解き」の要素が他の翻訳より強く感じたからです。恐らく、古典言語が好きになった理由と同じではないかと思います。勿論、翻訳をするという行為は、どのような翻訳でも疑問がでないということはなく、調査をしたりして、その疑問を解決して翻訳をするものです。
ところが、CIOMS作成や安全性の経過欄の翻訳における疑問は、「なぞ解き」といえるほど解けたときの「すがすがしさ」が並大抵のものではなかったのです。
CIOMSを作成した方なら理解できると思いますが、経過欄の翻訳(いや報告書作成といったほうがより適切である場合もあります)は、翻訳の対象になっている日本語の文章を見ただけでは理解できないことが多くあります。例えば、「ある患者が発熱をし、翌日に熱が下がった」と経過欄に記載があったとします。ここで言う「熱が下がった」とは、「解熱」を意味するのか、「解熱まではいかなくても、ただ熱が低くなった」ことを意味するのかは、他の資料、例えば臨床検査値データが添付されていれば、そのデータ見て判断します。臨床検査値データの該当する日付を見て、もし「解熱まではいかなくても、熱が低くなった」と読めるときは、表示されている体温の値を盛り込んで、「XXXX年XX月XX日、患者の体温はYY度まで下がった」として翻訳します。当然、他の資料からも「解熱」を示すデータがなく、熱が下がった日の臨床検査値データも添付されていないときは、具体的な下がった体温を示さず、単に「熱が下がった」と翻訳します。