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【 連載コラム 】

医薬品の安全性を守る仕組み(PMDA)

下町ロケットが昨日(2015年12月20日)最終回を迎えました。アツかったですね!最後までとても面白かったです。

2015-12-21 16:24

会員限定コラム

下町ロケット最終回

下町ロケットが昨日(2015年12月20日)最終回を迎えました。アツかったですね!最後までとても面白かったです。悪役が見事にハマった小泉孝太郎が演じるNASA帰りの社長、椎名との最終対決では息を呑む迫力がありました。

主宰会社ウィズウィグがNASAの宇宙文献書誌・抄録データベース制作事業からスタートしたこともあり、ロケット編から興味深く見ていたのですが、ガウディ編は心臓の人工弁という医療機器をめぐる話で、アンセクレツォが扱う「医薬品の安全性」と非常に近しいテーマだったので、大変見入ってしまいました。

現実世界の”PMDA”

さて、ドラマ中に医療機器の製造販売の審査や承認を行う『Pmea』という機関が登場しました。あまり馴染のない組織で、そんな仕事があるのか、と思った方もいるのではないでしょうか。ドラマでは、一人の審査官がとんでもない悪役として登場しますが、そこはあくまでフィクションのお話。

ですが現実世界にも、医薬品や医療機器の製造販売の審査や承認を行う組織は存在します。厚生労働省管轄の独立行政法人で、医薬品医療機器総合機構、略称を<PMDA>といいます。医薬品業界で、安全性関連業務に携わる人であれば、知らない人はいないでしょう。

その仕事はドラマで扱われたような審査・承認に留まらず、皆さんが日常で使用する医薬品などが安全であるかどうかを日々厳しく監視し、必要な指導を行う、大変重要な役目を担っています。

医薬品の安全性を守る仕組み

皆さんがお医者さんから処方される薬を飲んだりして、何か意図しないことが起きた場合、 製薬企業は必ず国(「規制当局」:日本では厚生労働省、実際はその業務を行うPMDA)にその情報を報告する義務があります。

規制当局では報告された情報を基に、「添付文書」(薬の説明書のようなもの)の改訂を指示したり、問題のある製品の回収を指示したり、お医者さんなど医療従事者向けに「緊急安全性情報」や「安全性速報」といった情報告知を行います(もちろんこれらは一般にも公開されています)。

また、新しい薬が開発される段階では、限られた条件で試験を行う「治験」が実施されます。薬が承認され市販される前の治験の段階でも、投与された薬で好ましくないことが起きた場合、規制当局に報告する義務があります。治験では、効き目の有無を立証するだけでなく、安全性に問題がないか情報を収集・分析し、基準をクリアしなければ審査で承認を得ることが出来ません。

このように、過去の様々な教訓から、広範で重大な薬害が起きないよう、安全性を守る仕組みが整備されています。

医薬品安全性関連業務の使命

下町ロケットの主人公、佃航平(阿部寛)はドラマの中でこう言いました。

「そもそも、このPmeaは医療開発を目指す企業の志を諦めさせる為の組織ですか?それとも日本の医療の安全と発展の為に手助けする為の組織なんですか?」

現実の組織、PMDAはもちろん、後者です。

医薬品の安全性を守る仕組みの中心がPMDAであり、それを製薬企業の側で担うのが企業の安全性部門です。何事でも信頼を築くのには不断の努力と長い年月がかかり、失われるのは一瞬ですが、医薬品の場合、失われるのは信頼だけではありません。対応が遅れると健康や命が脅かされるのです。だからこそ、医薬品の安全性を守るための仕組みがあり、地道な情報収集と報告、対策が続けられているのです。

私たち主宰会社ウィズウィグでは医薬品の安全性を守るための、製薬企業様の大切なお仕事の支援をしています。ここアンセクレツォで学んで頂く内容も、医薬品の安全性を守る、ひいては患者さんや私たち一人ひとりが安心して薬が使えるための、とても重要でやりがいのある大切なお仕事に繋がるものになります。

「医薬品の安全性って何だろう?」と思われていた方も、自分に関係のあることとして、いくらか興味を持って頂けたでしょうか。

次回から、医薬品の安全性についてもう少し詳しいお話をしていきたいと思います。