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【 連載コラム 】

医薬品安全性情報関連実務の特徴

先日、毎年恒例の今年の漢字が発表されました。2015年は「安」でした。

2015-12-28 11:53

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今年の漢字「安」

先日、毎年恒例の今年の漢字が発表されました。2015年は「安」でした。

安倍政権の「安」、安全保障関連法案の「安」、テロ事件や異常気象による不安の「安」、マンションの杭データ不正等、暮らしの「安」全が揺らいだ、などが選ばれた理由のようです。

今年スタートした私たちにとっては、安全性の「安」、アンセクレツォの「アン」、と手放しに喜べない様子で、使命を新たに気が引き締まる思いです。

脅かされる安全性

製薬業界でも、医薬品の安全性や品質管理に関する基準を守っていなかった製薬企業にPMDAが査察に入り、厚生労働省から業務改善命令や業務停止命令を受けたというニュースがありました。

別の業界に目を転じてみても、食品の産地偽装や賞味期限改ざん、マンションの杭データ不正、船や電車に使われる防震ゴムの検査データ改ざん、車のエアバック問題と虚偽報告…

残念なことに、私たちの暮らしの安全が様々な場面で脅かされています。

しかし逆説的ですが、こうした不正が明るみにされることで、実はその裏側にはそうならないための仕組みや基準がきちんと用意されていること、それによって私たちの暮らしの安全が守られていることに気付かされます。(それが適切に機能しているかは別として)

医薬品安全性の宿命と「報告期限」

前回の記事では、PMDAという組織の存在をご紹介することを通じて、医薬品の安全性を守る仕組みを簡単にご案内しました。今日はその仕組みにまつわる実務について、医薬品の安全性ならではの特徴を少しご紹介します。

偽装や改ざんなどの不正は論外ですが、医薬品ならではの宿命として、企業が意図しない『副作用』によって私たちの健康が脅かされかねない場面が少なからず存在します。

先日の記事では、医薬品の安全性を守る仕組み、規制当局への報告義務についてご紹介しました。この規制当局への報告には、重大な薬害に発展しないために、いくつかの条件によって「報告期限」が定められています。

報告期限は、短いものでは企業が情報を入手したときから7日以内とされているケースもあります。(※:提携企業同士で情報を共有したり、グローバル企業で別の国でも報告しなければいけない場合などは、この猶予はもっと短くなります。)

実務のなかでは、様々な業務上の工程があるため、翻訳やデータ入力に許される時間が1日とない場面も大変多く存在します。

医薬品安全性関連実務の特徴

医薬品の安全性情報関連の実務では、このように限られた時間の中で、必要な情報を過不足なく盛り込み、情報を受け取った側が評価・判断する際に、誤解を招かないような表現であらわすことが非常に重要になります。

医学翻訳の中でも、安全性情報関連業務に求められるものが、他とやや性格を異にする所以です。

具体的には、時制の使い方であったり、主語の選び方であったり、特定の言い回しであったりするのですが、安全性ならではの、特殊なルールのようなものは、全て安全性業務の特性として必要な理由があるのです。

アンセクレツォでは、このような安全性の実務に直結したカリキュラムをご用意しています。